化粧品の成分表示について

化粧品の成分表示について

化粧品を購入する際、容器や箱には様々な成分が表示されています。自分の肌質を考え、内容を確認して購入する方も多いですが、この成分表示を記載することは法律で決められています。消費者の誤解を招かないよう、販売業者の皆様はしっかり把握する必要があります。
ここでは、薬機法や化粧品の成分表示、ルールについてお伝えしていきます。

薬機法とは?

化粧品の成分のルールは、「薬機法」によって決められています。薬機法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療器具・再生医療等製品の有効性や安全性を確保するために作られた法律です。開発や製造、広告などに規制をかけることにより、利用者の健康や生命を守るという役割があります。
正式名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」なので、省略して「薬機法」や「医薬品医療機器等法」と呼ばれています。以前は「薬事法」と呼ばれていましたが、平成26年度の法改正に伴い名称が変更されました。

薬機法における化粧品の成分表示について

化粧品を製造したり流通させたりする際には、薬機法を必ず守らなければいけません。中でも化粧品の成分は、全成分を表示することが義務になっています。

「全成分表示義務」とは?

従来、化粧品は表示指定成分だけを表示するよう決められていました。しかし、薬機法が平成13年度に改正され、化粧品に含まれている成分を全て表示することが義務づけられるようになりました。 そのため、販売業者はありのままの情報を消費者に提供しなければなりません。
使用している化粧品容器や容器を収める箱、または添付書類に表示内容を記載することで、消費者からの信頼を得ることができます。 また、この成分表示を義務化することによって、消費者も安全かどうか認識できるようになり、未然に肌トラブルを防ぐ対策のひとつとして重視されるようになりました。

医薬部外品には「全成分表示義務」がない

医薬部外品の場合は厚生労働省が承認した製品であるため、全成分表示は任意です。「表示指定成分」と呼ばれる特定の成分、もしくは香料を含んでいるときのみ表示する必要があります。
化粧品は全て表示しなくてはいけないのに、医薬部外品は特定の成分だけ表示すればいいとなると、化粧品の方が厳しく規制されていると感じるかもしれません。しかし、医薬部外品は品目ごとに製造販売の認可を受ける必要がある一方、化粧品は比較的規制がゆるく「製造販売届」を提出するだけです。
そのため、消費者が化粧品の成分を確認して安全に利用できるように、全成分の表示が求められています。

化粧品の成分表示における具体的なルール

成分表示には、法規や業界団体のガイドラインによるルールが存在します。どのような点を守ればいいのか、いくつかご紹介します。

成分の名称

成分の表示は日本語で、原則として日本化粧品工業連合会(粧工会)による「化粧品の成分表示名称リスト」の名称を使用します。
化粧品に使う成分に日本名がない場合は、名称の作成を粧工会に依頼します。

成分表記の順番

成分表記の順番にもルールがあり、製品において分量が多い順にします。つまり、消費者は並び方をチェックすることで「このコスメはこんな成分が多いのか」といったように参考にできるのです。
ただし、1%以下の成分に関しては順不同でかまいません。また、香料は複数の成分をまとめて「香料」として記載できたり、着色剤は全成分の表示の後に順不同で載せられたりといったルールがあります。

「キャリーオーバー成分」は表示しなくて良い

「キャリーオーバー成分」は、配合成分に付随する成分です。製品になった際には微量なためその効能効果を発揮しないとされていて、表示する義務はありません。
例としては、原料となる配合成分の腐敗や劣化を防止して安定させる防腐剤・酸化防止剤といった成分があげられます。原料会社などが安定的に保管するために配合することがありますが、化粧品が完成した最終的な段階では薄まっているため、効能効果を発揮しない量の成分だと判断されるのです。

薬事法で定められている主な表示内容は?

薬事法では、成分表示以外にも様々な表示内容が定められています。
主な表示内容としては、以下の通りです。

  • ・販売名称
  • ・製造販売元の名称及び住所
  • ・配合されている成分の名称
  • ・製造番号
  • ・重量や容量
  • ・使用上の注意
  • ・使用期限

その他にも、厚生労働省により特別に定められた内容がある際は、記載する必要があります。化粧品の成分表示に関しては、薬事法の第61条・第62条で規定されておりますので、販売業者の皆様は確認しておきましょう。

化粧品の成分表示に関するルールを把握することが重要

化粧品は、薬機法によって様々なルールが決められています。消費者の健康を守るのはもちろん、化粧品を滞りなく製造販売するためにも、成分表示の規制について把握しておきましょう。

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